し で ん が は し っ た
 めいじ三十六ねん九がつ、大阪にはじめて市営の電車がはしり、九条花園橋から築港までのやく五キロメートルを五だいの電車がはしることになりました。  このうち一だいは二かいつきの電車で、三十七ねん七がつからうんてんをはじめました。この二かいつきの電車は二かいは二十四めい、一かいは四十二めいまでのることができるという、めずらしいものでありました。
しゃしょう 「もしもし、おきゃくさん、そんなとこでゲタぬいでどないするねん」
きゃく   「へぇ、二かいのせきへ あがろうとおもうてますねん」
しゃしょう 「ゲタぬがんでもよろしいそのままあがってんか」
きゃく   「さよか、ほんならごめんやっしゃ」
きゃく   「しゃしょうさん、二かいのりょうきんはなんぼだす」
しゃしょう 「うえもしたもりょうきんはいっしょや」
きゃく   「うんてんしゅさん、もうしんぼうでけへん、ちょっとしょうべんするあいだ、電車をとめてくれへんか」
うんてんしゅ「しょうがないなぁ、ちょっとだけやで、はよしなはれや」

 また、こどもたちも
 「オイ、みんな、しでんがはしってきよった。しでんときょうそうや。
  ソレ、はよしなはれや」と、おおよろこびだったそうです。
 さいしょはいろいろとおもしろいこともありましたが、築港へさかなつりにゆくひと、なつにはゆうすずみにゆくひとなどをのせて、くびをふりふりみわたすかぎりのあしのはらッパのなかをせいいっぱいはしっていたようです。
文:竹田政廣 イラスト:赤坂典子


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